2008.06.16
読み返していたら思わず感動してしまって、
「これはげんしけんが好きな人には是非読んでほしい!!」
と思った漫画があるので、それをふまえつつレビューします。

ヨイコノミライ 2 完全版 (2) (IKKI COMICS)ヨイコノミライ 2 完全版 (2) (IKKI COMICS)
(2006/07/28)
きづき あきら

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「ヨイコノミライ 完全版」きづきあきら 全4巻 06年

げんしけんと方向性は全く逆のオタク漫画。
個性的なオタクの面々が活躍するという点では同じなのですが、
「げんしけん」がオタクを全体的にさっぱりとポジティブに描いた青春漫画であるのに対し、
「ヨイコノミライ」はオタクの痛々しさや勘違い具合を前面に出したネガティブな青春漫画。

とりあえず一部のキャラたちの特徴やエピソードをあげます。(ネタバレ気味)

漫研(高校)なのにダベってばかり・漫画家を育てたい編集者志望の主人公・批評家気取り
ナルシストな声優気取り・ただいるだけの存在価値のない奴
デブでゴスロリ(歩行者の白い目)・ろくに描いてないのに漫画家になれると思っている
漫画家を楽な仕事だと思っている・自傷癖・同性愛(女)・ぶりっ子だが裏では性格悪い
絵が下手すぎて苦しむ・友達がどんどんうまくなっていくことに激しい憎悪
現実を直視しないオカルト少女・友達が悪霊に取り付かれていると思い込んでいる
ストーカー・アイコラ・原稿使いまわし・掲示板荒らし・内弁慶・便所飯
好きな同人作家を勝手に友達だと思っている(G県厨?を元ネタにしていると思われる)
パクリトレース・一冊も売れない・・・etc.

ネット上でネタにされるようなオタクの陰の部分をふんだんに盛り込んでいるようです。
主人公含む夢見がちで自己中なクラブの人間関係を
冷酷なヒロインがひっかきまわしていく話なのですが、
オタクの人なら「いるいるこういうヤツ」と笑い飛ばしながらも、
「自分にも心当たりが…」と胸の中をほじくり返されるはず! 心臓が痛くてこれがたまらない!
大学生じゃなくて高校生ってのも良いですね。
ほらあのころって大人になる前で、特に夢や妄想が香ばしいじゃないですか…
「一般人のオタクに対する白い目」も徹底的にかかれています。


やや重い内容ですが、恋愛問題も混ざったり、テンポが良かったりするので単純に面白いです。
それにモロに救いようの無いキャラもいますが、多くは不器用なだけだったり
若さゆえの過ちだったりするので、けなげに思えてきてしまうというか。痛々しいけど、切ない。
あと近年腐女子漫画がいくつか出てるけど、ギャグばっかりなので、
「女オタク(腐女子)の痛い部分」をシリアスに描いている点でも貴重な漫画かもしれません。

この漫画、もともとWEBコミック雑誌で連載していたけど途中で廃刊してしまい、
しかし評判が良かったため改めてIKKIコミックスから完結させて復刊という経緯があります。
限られた書き下ろしページで描ききったわけですけど(打ち切り漫画の宿命ですけど)
最終巻の畳み掛ける展開、爽やかさと毒をもったラストは圧巻! まとめ方がうまいと思いました。

作者(画・妻きづきあきらと話・夫サトウナンキという夫婦コンビ)は他にも
コミックスを出していますが、人間の暗い部分を描くのが得意な方々です。
「オタク文化が好きだからこそ、暗い部分も無かったことにしたくありませんでした」
とあとがきで語っています。
描いたのはちょうど「電車男」や「げんしけん」が注目されてきたころだったと思われるのですが、
そういう楽しいオタク物のアンチテーゼも含まれているのかな、と勘ぐってしまいますね。


読み比べてしまうと…「げんしけん」は、何て優しい漫画だったんだ、と再認識。
げんしけんは良い人たちだらけだし…みんな留年してないし…
笹原描いてないのに偉そうだし…同人誌も鉛筆本で初参加で完売してるし…
最初のころの荻上頭おかしいし…ネーム描くの早くて腹立つし…
咲さんも笹原妹も普通サークルに来ないし… 大野さんキモいし(定説)

と、なんだかあの楽しいサークルの調子のよさに激しい嫉妬を抱いてしまい
卑屈な読み方をしてしまう病気にかかる恐れがあるので気をつけたほうが良いかも…
勿論「げんしけん」も大好きですなんですけどね。


以上、長々とオススメしましたが、「ヨイコノミライ」、書店であまり見かけませんが
オタクのかた、一度は漫画家に憧れたことのあるかたには、
是非読んでいただきたい漫画です。 アニメ化しないかなー(絶対無い)



・余談ですが、同じ題材で光と影(理想と現実?)を比べて読むなら
オタク 「げんしけん」     ←→「ヨイコノミライ」
アート 「ハチミツとクローバー」←→「fine.」
バンド 「BECK」        ←→「ソラニン」
とかですかねぇ…後者がどうしてもマイナーになってしまいますが、
不甲斐ない自分を突きつけられる感じが、好きなんですよね…マゾだな…
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